
今や眠れない、眠った気がしないと睡眠障害に悩んでいる人は実に5人に1人もいるといわれます。
眠りたいのに眠れないのはとても辛いですよね。疲れてイライラしたり、お肌の調子も悪くなったり、辛い思いをしている女性は多いと思います。薬に頼らざるを得ない状況の人もいると思いますが、まずは不眠の原因を知り、ぐっすり眠れるように対策をしましょう。
今日からぐっすり眠れるように、3つの克服法をご紹介します。眠れなくて辛い思いをしている方はぜひ試してみてください。
不眠症とは眠りたいのに眠れない状態のこと
不眠症とは「何時間以上眠れなければ不眠症である」というような明確な定義はありません。忙しくて眠れないのはただの睡眠不足ですが、眠ろうとしているのに眠れないという状態を不眠症といいます。
例えば4時間睡眠でもぐっすり眠って全く疲れが残っていなければ不眠症ではありませんが、8時間眠っても全く寝た気がしない、疲れが取れないという日が続いているのならそれは不眠症といえるでしょう。
一応診断の基準があって、1ヶ月以上不眠といわれる症状が続いている場合に睡眠障害と診断されることが多いようです。
あなたが眠れない原因は?

不眠症(睡眠障害)は主の4つの症状があります。
- 入眠障害(寝つきが悪い)
- 中途覚醒(夜中に目が覚めてしまう)
- 早朝覚醒(朝早くに目が覚めてしまう)
- 熟眠障害(眠った気がしない)
どれか1つの症状が出ている場合もあれば、いくつか組み合わさっている場合もあります。なぜこれらの症状が出てしまうのか、その原因にはこのようなものがあります。思い当たるようなものはありますか?
生活のリズムが乱れている
夜更かしして週末は昼間で寝ている、などという生活をしていると体内時計が狂ってきます。人の体内時計はおよそ25時間だといわれているので、毎朝太陽の光を浴びてリセットしないと乱れてくるのです。体内時計が狂っていると夜暗くなっても眠気がやって来ないため、なかなか眠れなくなります。
いびき
いびきは周りの家族に迷惑なばかりか、自分の不眠の原因になっていることもあります。睡眠時無呼吸症候群の可能性もあるので、耳鼻科や睡眠外来など専門家にみてもらうことが必要です。
運動不足
人は動かなすぎても眠れなくなるものなのです。日中の活動量が少ないと身体が疲れていないので眠れないのです。アメリカで行われた調査によると、日中の活動量が多い人の方が不眠率が低いという結果も出ています。
日中ある程度動いておかないと身体が休養の必要を感じないため、なかなか眠くならないのでしょう。
ストレス、緊張
心配事があるとなかなか眠れないというのは誰しも1度は経験したことがあるのではないでしょうか。翌日に大事なプレゼンをしないといけないとか、重要な試験が控えている時などは目がさえてしまってなかなか寝付けなくなってしまいます。
眠らないといけないと思うと、それがまたストレスになって余計に眠れないという悪循環を引き起こします。
カフェイン、アルコール
寝る前にお酒やカフェインの入ったものを飲むと、覚醒作用によって眠れなくなることがあります。寝酒などといって寝る前にお酒を飲む人がいますが、実は逆効果なんですね。利尿作用によってトイレも近くなるので、夜中に目が覚める原因にもなります。
また、カフェインは持続時間が長いので、眠れない人は夕方以降は飲まない方がいいでしょう。
薬の副作用
飲んでいる薬のせいで眠れなくなることがあります。薬の副作用が疑われる場合は医師に相談してみましょう。
心の病気が原因であることも
眠れないくらいで仕事を休んではいけないと無理を重ねてしまうと、心の病気を見逃してしまう可能性があります。
- 不安神経症
- 自律神経失調症
- うつ病
などの初期症状として不眠が出てくることもあります。単なる不眠だからなんてやり過ごさないで、早めに医療機関を受診することも必要です。
不眠症によるデメリットは生産性とパフォーマンスの低下も!
不眠症の状態が長く続くと体調不良を起こし、病気につながってしまう可能性があります。
また、疲労感が抜けないために、仕事や日常生活にも支障が出てしまいます。仕事でもミスが多くなったり、家事を効率的に出来ないなど、あなたが持つ本来の力を出し切れていないのはしっかり眠れていないことが原因かもしれません。
不眠が続くと日中のパフォーマンスも生産性も低下、まさにデメリットしかないでしょう。
イライラや不安感
疲れているのでちょっとしたことでもイライラしがち。普段なら気にならないことに過剰に反応してしまったり、小さなことが気に触って怒りっぽくなります。
集中力の低下
脳も身体もしっかり休息を取れていないので、日中眠くなってしまうこともしばしば。そうすると集中力が低下して、細かい作業がしづらくなったり、ちょっとしたことでもミスしてしまったりということが起きます。
食欲不振
疲れが取れていないということは内臓も疲れています。消化吸収能力も低下しているので、食欲が出ません。内臓疾患がないのに食欲がでないのは不眠が原因だと考えられます。
太りやすい体質になる
睡眠時間が短いとホルモンバランスも乱れるために、太りやすくなるということがわかっています。要するに太りやすい体質になってしまうのです。
満腹ホルモンのレプチンが減り、代わりに空腹ホルモンであるグレリンが増えてしまうために、お腹がすきやすくなりついつい食べ過ぎてしまう傾向に。いつもお腹がすいていて食べ過ぎてしまうという人は、意思が弱いからではなくて不眠からくるホルモンバランスの乱れの影響かもしれません。
眠りの質を向上させるための3つの方法

不眠症を克服するためには様々な対策法が紹介されています。アロマテラピーでリラックスするとか、趣味など自分が楽しいことをしてストレス発散するとか、方法としては色々あるでしょう。
1日仕事を休んでフラッと旅に出たり、ゆっくりする時間を持つことが出来れば、ストレスから解放されてよく眠れるようになるかもしれません。しかし実際問題として忙しい私たちがゆっくりする時間をとることはなかなか難しいでしょう。
そこで、日常生活の中でストレスを和らげ、心を解放できる方法を3つご紹介しますので、是非試してみてください。
瞑想とマインドフルネス

瞑想は何となくイメージできると思いますが、マインドフルネスという言葉は初めて聞いた、という方もいらっしゃるかもしれません。瞑想とマインドフルネスは似ているようで少し違うのです。
瞑想というとヨガや禅などで古くから実践されてきた精神集中の方法ですが、場合によっては宗教的な色合いもあります。その瞑想の中から生まれたのがマインドフルネスです。
瞑想から宗教的な意味合いを排除し、「今ここにある」ことに集中する方法、それがマインドフルネスです。ですから、マインドフルネスといった場合は、今ここに集中している心の状態を指すこともあれば、集中する方法を指す場合もあります。
後者の場合は「マインドフルネス瞑想」などといったりします。
瞑想もマインドフルネスも、雑念を取り払い、心のおしゃべりを止めて、今自分がいるこの瞬間だけに集中する方法、という点では同様のものと考えても差し支えないでしょう。
ここではわかりやすいように、「マインドフルネス瞑想」のやり方についてご紹介します。基本的なやり方からアレンジバージョンなど色々ありますが、最もやりやすい簡単な方法をご紹介しますね。
マインドフルネス瞑想の方法
- 座って真っ直ぐに背筋を伸ばします。座るのは椅子でも床でもかまいません。
- 数回深呼吸をして気持ちを落ち着けます。呼吸は吐く方から始めます。
- 深呼吸しながら、意識を呼吸に集中します。お腹が膨らんだり引っ込んだりするのを感じてください。
- 雑念や悩み事がわいてきても、それに流されず、今この瞬間、呼吸をしているということに集中してください。
- 10分ほど続けたら終了です。
背もたれのある椅子にゆったり座ってやるのもいいですし、横になってリラックスしてやってみるのもいいでしょう。もしかしたら、そのまま眠ってしまうかもしれません。
私たちは、自分ではどうにもならない他人からの評価や今更変えられない過去について、あれこれ悩んだりします。でもそれでは心が休まる暇がありません。
生真面目、几帳面な人ほど、小さなことで悩んでしまいがちですし、それを引きずったまま家に帰ってきてなかなか眠れない、ということがあるでしょう。
ですから、寝る前に10分でいいです、自分を解放する時間を作ってください。そしてマインドフルネス瞑想をすることによって心をクリアにし、リラックして眠りについて欲しいと思います。
神経の流れを正す
これも自分で行うことが出来る健康法です。不眠だけでなく、頭痛やめまい、肩こりなどにも良いとされる「神経の流れを正す方法」をご紹介します。
私たちの身体には中枢神経と末梢神経がありますが、脳を中心として意思や情緒、自律神経などを司るのが中枢神経です。そして、体の各器官と中枢神経とをつなぐのが末梢神経です。
これらの神経の流れがスムーズであれば問題ないのですが、何らかの理由で流れが滞ってしまうと、不眠だけでなく、冷えやめまい、頭痛など、特に病気とは診断されないが体調が悪い「不定愁訴」という症状が起こりやすくなります。
そこでおすすめしたい方法が「首押し」という方法です。首には重要な神経が集まっていますが首にある神経のポイントを押すことによって流れをスムーズにし、体調を改善していきます。
首押しの方法
- 第一頸椎を押します。真っ直ぐ前を向いて耳の後ろにある突起(乳状突起)の下1mmくらいのところを中指の腹で押します。
- 60秒、そのポイントを押したまま腹式呼吸をします。
- 次に第二頸椎を押します。後頭部の下端(ちょうど生え際の当たり)から2cm下にいったところにあるポイントを押します。両手を首に回し、両方の中指をそのポイントの上に重ねます。
- 60秒押したまま、腹式呼吸を行います。
第一頸椎の方は、軽く押してみて痛みや違和感がある方、どちらか一方を押すようにします。指圧ではないので、ぎゅっと強く押す必要はありません。ごく軽く、触れる程度の力で十分です。
朝晩2回は最低行うようにして、あとは思い立った時にいつでもやってみてください。それによって神経の流れがスムーズになり、身体の調子が整っていきます。それによって、夜も眠りやすくなるでしょう。
ネガティブ思考からポジティブ思考へ

例えば、仕事でミスをしたとします。同じ出来事に対しても、「次は同じ間違いをしないようにしよう!」と思える人と、「どうしてこんなミスをしてしまったんだろう。だからやっぱり私はダメなんだ」と思ってしまう人がいます。
次に備えて前向きに考えられるポジティブ思考の人と、いつまでもくよくよと落ち込んでしまうネガティブ思考の違いですね。ネガティブ思考はストレスがたまりやすいだけでなく、ストレス耐性も低くなりますから、少しずつポジティブ思考へ変えていく必要があります。
起きてしまったことはどうしようもありません。過去は変えられないのです。これから先に役立てるために原因を考えることは大切ですが、自分を責めるために悩んでも仕方が無いと思いませんか。
誰にでも間違いはありますし、ネガティブな考えにとらわれることだってあります。でもそれをプラスの方向に変えていかないと、ストレスに押しつぶされてしまいます。
また、心配性なのもストレスを増やす原因です。心配事の8割は実際に起こらないといわれます。まだ起きてもいないことをあれこれ心配しても時間の無駄です。何か起きたらその時に考えよう。そのくらいのおおらかさが必要です。心配事は自分の心が作り出すものだということに気づけば、起きてもいないことで思い悩むことも少なくなってくるでしょう。
ネガティブ思考からポジティブ思考へパラダイムシフト
ネガティブ思考からポジティブ思考に変えるには、パラダイムシフトが必要です。パラダイムとはものすごく簡単にいうと、「物事の捉え方、見方」です。コヴィー博士の『7つの習慣』という著書でも出てくる言葉ですが、誰しも自分なりのパラダイムを持っていて、かつ、多くはそのパラダイムにとらわれていることに気づいていません。
何かで失敗した時に、他人に責任転嫁したり、または自分を責めてしまう人がいますが、それよりも、もっと努力をしてみようと考えた方がずっと建設的で自分の成長にもなると思いませんか。
この考え方の転換を「パラダイムシフト」といいます。ネガティブ思考は性格や考え方が良くないのではなく、単なる「考え方のクセ」なのです。それに気づくことがまず第一歩です。
「あ、またネガティブになってる!」と気づくだけでOK。気づいたらやめるんです。そして、少しでもプラスの方向に変換して考えるようにしてみてください。最初はなかなかうまくいかないかもしれません。でもその繰り返しをしているうちに、段々とすんなり気持ちを切り替えることが出来るようになってきます。
すべては自分の考え方次第、捉え方次第なのです。それがわかればポジティブ思考が身に付き、ストレスを受けても感じにくくなったり、すぐに解消できたりします。
まとめ
眠れない原因は様々ですが、その大元となっているのがストレスです。
しかし、今の世の中でストレスを全く感じないで生きていくことは難しいでしょう。ですから、ストレスを感じないようにしようとしたり、嫌なことから逃れようとするのではなく、自分で上手にストレスを解消していけることが大切です。
その日のストレスはその日のうちに。自分でメンタルのコントロールが上手になれば、多少のストレスくらいでは折れない、しなやかな心を持つことが出来るでしょう。休養というのはあなたが思っているよりもずっと大切なものなのです。
今回ご紹介した方法をぜひ実践してみてください。そして不眠症状から解放され、毎日を生き生きと、幸福感に満ちて過ごして欲しいと思います。